アラブストリートとは〜アラブ人のいないアラブストリート

アラブストリートとノースブリッジロードの交差点から
アラブストリートとノースブリッジロードの交差点から

シンガポール在住中にアラブストリートへ友人などを案内すると、「アラブストリートってアラブ人街だからアラブ人が住んでるところなの?」という質問を必ずといっていいほど受けました。答えから先にいうと、アラブストリートは、今は「アラブ人街」ではありません。むしろ、地域の性格から考えると「イスラム教徒街」といった方が正しいのかもしれません。

ラッフルズがシンガポールに上陸して間もない頃、この地区は、シンガポールをイギリスに譲渡したサルタン(地域の王様ですね)の支配地を中心に、モスクなどを備え、マレーシアやインドネシア周辺のイスラム系移民を周囲に住まわせた「イスラム教街」として成立しました。

この地区は、至る所に生えていたグラムというユーカリの一種である木の名前をとって、「カンポン・グラム」(グラム村)と呼ばれており、今でもシンガポールの政府観光局などのオフィシャルガイドでは「カンポングラム」と紹介されていますし、現地の案内表示もカンポングラムになっています。英語のガイドブックなどもほとんどカンポングラムの名前でこの地域を紹介しているのが実際のところです。

このカンポングラムのメインストリートが「アラブストリート」で、日本人旅行者に圧倒的になじみが深いのはこちらの名前ですね。どういうわけか、日本語のガイドブックでは、カンポングラムの名で紹介しているものはほとんどなくて、アラブストリートで通っているためなのですが、こうした名前がついているのは、もちろんアラブに関係があるからです。

カンポングラムが街として成立すると間もなく、街の中心となったのは、メッカ巡礼者のエージェントとして経済的に成功を収めたアラブ系移民たちでした。彼らは儲けたお金でモスク(イスラム寺院)や学校などを寄附・寄進し、イスラム学校などもあるイスラム教の拠点としてこの街を成長させてきたわけなんです。彼らの影響力が道の名前となって残っているのです。

しかし、20世紀に入ってシンガポール全体の経済の拡大で移民数が増加してきたことから、アラブ人やマレー系の住民が郊外へ移転していき、インド系や中国系を中心とする小売商などが中心になっていきました。そして、現在のように、アラブ人がおらず、インド系・中国系の小売商が並び、イスラム教の強い雰囲気を残す街になっていったわけです。このあたりの詳しい歴史については、「アラブストリートの歴史」の項をご覧ください。

仏教徒の中国系のお店や、ヒンズー教徒のお店などもたくさんありますが、街全体の性格からいうと、アラブストリートを「アラブ人街」と紹介するのは、今は間違っているといってもよく、むしろ「イスラム教街」と説明してしまった方が正しいのではないかと、私たちは思っています。

アラブストリートの場所と行き方

ゴールデンランドマークホテル横から
ゴールデンランドマークホテル横から

アラブストリートは、MRTブギス駅から歩いて10分程度の場所にあり、歩いて出かけるにも手軽な場所といえます。

MRTブギス駅を出たら、まず、ビクトリアストリート(Victoria Street)とローチョール・ロード(Rochor Road)の交差点方面へ出ます。ブギスジャンクションでいうと、西友の側ですね。ここの交差点を渡り、ゴールデンランドマークホテルの方面へ向かい、ホテルを過ぎたところは、もうアラブストリートです。ゴールデンランドマークホテルは下の階がショッピングセンターになっているので、ここを通り抜けてもいいですね。

西友を通り抜けて、ノースブリッジロード(North Bridge Road)側に出ても簡単に行くことができます。一方通行になっているので、車の流れの反対に歩いていくと、モスクが見えてきますので、モスク手前の交差点を渡ると、アラブストリートです。

バスで出かける場合ですが、モスクの裏の通りを走るバスに乗るのが一番近いのですが、ここは一方通行になっているため、市内からアラブストリート至近のバス停まで向かうのは無理です。したがって、シティ方面から向かう場合は、チャイナタウンからはじまってチャイムス付近を通り、ブギスを経由して東へ向かうビクトリアストリートを走るバスに乗ることになります。

MRTブギス駅へ向かうバスに乗り、ブギス駅前の次のバス停で降ります。 オーチャード(ラッキープラザ前)からは7番、チャイナタウンからシティ経由の場合は、2,12,33,51,61,62,63,145,197番が利用できます。

アラブストリート観光の方法

アラブストリートの街並み
アラブストリートの街並み

アラブストリートの観光は、モスクを中心とした小さな街をぶらぶら歩き、テキスタイルやバティック、籐製品や革製品などのお店を見て回ったりするという感じになります。アラブストリート自体はごく小さいエリアなので、休みながらぶらぶら歩いても小1時間程度で回れてしまいます。

ただ、モスクとアラブストリート沿いのお店だけに気を取られず、このほかに、歴史的に重要なスポットなどもあるので、注意して歩いてみたいものです。

アラブストリート観光の計画を立てるには、日程的なものを注意する必要があります。というのは、アラブストリートのお店は基本的に日曜日・祝日はお休みなんですね。自分のペースはきっちり守って生活しているアラブストリートのお店ならではのことです。

したがって、週末をはさんだツアーで、日曜日に自由行動があるような場合にアラブストリートでお店を見ようとすると、ものの見事に閉まっていますので注意しましょう。

それから、このエリアのお店は、どんなにお客さんが来ていても、午後6時になると閉店してしまいます。夕方向かっていく場合には、時間に注意しましょう。また、朝は10時頃からぼちぼちと開き始めるので、あまり早く出かけるとお店が開いていないので、こちらも要注意です。

また、金曜日はイスラム教の集団礼拝日にあたるので、アラブストリート最大の見所と行ってもいいサルタン・モスクの見学時間に制限が出てきます。モスクの見学時間は、モスクの説明のところでふれますので、確認してください。
アラブストリートの道路表示
アラブストリートの道路表示

先ほども書いたように、アラブストリートは小さなエリアで見て回るには簡単ですので、他のスポットと組み合わせて行動する方法を考えたいものです。

私たちは在住中、友人などを案内して歩く際には、この周辺は基本的に歩きコースにしていて、アラブストリートから歩いてリトルインディアへ向かうルートか、リトルインディア観光を済ませた後にアルバートストリート、ブギスビレッジを経由してブギスジャンクションで休み、アラブストリートへ向かうルートのどちらかをとっていました。

ガイドブックの地図などで位置を確認していただきたいのですが、アラブストリート発の場合は、たいてい朝ゆっくりと起きて朝食をとり、10時前後にアラブストリートに着き、このエリアを40分から1時間くらいかけて回り、その後、アラブストリートをまっすぐロチョール・キャナルの方向へ向かい、泥棒市場(がらくた市場)を経由して、リトルインディアへ歩き、ここで観光してカレーを食べるという感じにしていました。

逆にリトルインディア観光を済ませてから戻ってくる場合は、たいてい午前中にマーライオン公園やチャイナタウン観光を済ませて、リトルインディアへ向かい、昼食にカレーを食べた後、冷房のあるブギスジャンクションまで歩いて休憩し、その後3時過ぎくらいにアラブストリートに至るというルートでした。

いずれにしても、アラブストリートの場合は、リトルインディアやブギスに近いので、このあたりとセットにして予定を立てていくと効率的な行動ができるのではないかと思いますね。

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