どういうわけか昨日から何やら餃子を食べたい気分になっておりまして、今日は朝から計画を練っていたのですが、妻と話した結果、前から気になっていたゲイランの「中国餃子王」なる店に出かけようと思い、意気込んで仕事から帰ってきました。準備万端整えて、さあ、出陣!と、ここまではよかったのですが、この後が苦難の連続でした。私の住んでいるところからバス停までの途中に大きな気の茂った歩道があるのですが、ここが実は夕方恒例カラスのミーティング会場なんです。前に紹介したリトルインディアの兄ちゃんたちじゃないけれど、夕方になるととにかく何百羽というカラスがやってきてはカァカァ大集団で鳴くんです。ただ、鳴くだけならいいんですが、自然の摂理で「なさる」んです。夕方の7時過ぎになると傘がいるような状態で、結局遠回りする羽目になりました。やっと行き着いたバス停では、バスが来ずに待つこと20分。今度は、ようやく乗ったバスが目的地に行かないことに気がついて、途中で乗り換え。来たバスに乗ったら、目的のゲイランロードの一本南の道に行くバスで、結局ゲイランの裏通りを妻同伴で歩く羽目になりました。
いやー、これがやっぱりゲイランの裏通りはすごい!薄暗い通りの古い建物の前にはポン引きと娼婦がうろうろしているし、バングラデシュやタイあたりから来ていると思われる兄ちゃんがあちこちでたむろしてるしで、そそくさとゲイランのメインロードへ向かいます。で、やっとの思いで目的の餃子王にたどり着いたと思ったらこれが何と改装中!で、仕方なくゲイラン・ロロン8のビーフ・クウェィ・ティェオを食べることにしました。
仕方なくとは言いましたが、ゲイラン・ロロン8のビーフ・クウェィ・ティェオというのは、おいしくて有名で、シンガポーリアンならたいてい知っているようなお店なんです。ゲイランロードというのはMRT沿いの長い通りですが、この通りから南北にLorong(マレー語で小道)と呼ばれる通りがいくつもあって、番号は西から順番につけられています。ロロン8は、シンガポールの中心から向かうと、手前の方になります。ここにはゲイランロードをはさんで、南北にビーフ・クウェィ・ティェオのお店が2軒あります。うちの職場の現地スタッフに言わせると、もう1軒のロロン9の方がうまいといっておりましたが、こちらは前に行ったことがあるので、今回はロロン8の方です。
味の方ですが、基本線はロロン9も同じです。濃厚なブラックビーンソース味のあんかけソースの中に、日本のきしめんの倍くらいの幅のホー・ファンと呼ばれる麺がごっちゃり入っています。もちろんソースにはビーフが惜しげもなく入っていて、実にリッチな一品です。この牛肉が実においしくて、「牛肉ってこんなにおいしいものか!」という感じ。それをとりまく「あん」は、チリがたっぷり入っていて、ピリピリ感が何ともいえずいいんです。麺はゴッテリしていて、ときおり「お焦げ」があるあたりが濃厚さを引き立てるのですが、とろみのソースをからめて食べると「ツルツルッ!」と入っていってうまいんです。
ただロロン9の方と比べると、少し落ちますね。ロロン9の方が牛肉は厚くて、大きくて、むっちりしていて、やわらかくて数段上です。ソースの味からみると、「8」の方がスパイシーですが、ソースのコクという面で「9」の方に軍配が上がります。まあ、とはいっても両方ともなかなかの水準ですよ。
さて、この「8」の方では点心もやっています。今日はもともとギョウザを食べにきたんだからということで注文することにしました。テーブルに「香港点心即叫即蒸」と書いてあるんですが、本当にそのとおりで店先へ行って「ギョウザくれ!」というと、その場でさっと蒸して持ってきてくれます。今日は2種類、えびギョウザとえび・豚肉のギョウザを注文しました。
セイロに入って出てきます。味の方は、まあこんなもんかという感じですかねえ。ただ、えびギョウザの方は、皮がダメ。冷凍食品みたいな歯ごたえのない皮で、これはいただけません。えびと豚肉のギョウザの方は、味は合格点ですが、蒸し具合がよくないのがウーンというところ。妻はこれならミスタードーナツの「サンフランシスコのチャイナタウンの飲茶」の方がうまいといっておりました。
お値段の方は、2人で13ドル80セント。注文すると、タオル、お茶がついてきます。看板によれば、夕方5時から夜中3時までの営業とのこと。このあたりは24時間営業とか、朝まで営業というところが多いんです。欲望の街ゲイランは眠らないというか、人間の欲望は時間を知らずというか、すごいですねえ。お店のメニューも、このビーフ・クウェィ・ティェオもそうですが、精力ギンギンにつきそうなものは多いし、本当にゲイランに来るとシンガポールの秘所をのぞいたような気分になるなあと思いつつ、お店を後にしたのでした。
<所在地:SINGAPORE STREET DIRECTORY MAP217 2-A参照>
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(96年11月13日取材)