お手数をおかけしました。クレタ・アヤの続き第3部をどうぞ!


サゴ・ストリートとサゴ・レーンのこと

サゴ・ストリートの風景
サゴ・ストリートの風景
スミスストリートの途中から横に見える巨大な建物がチャイナタウン・コンプレックスですが、ここへ向かう前に、芝生の広場に面したサゴ・ストリートを見ておきましょう。昔、この付近にサゴ(タピオカのようなでんぷん質の食べ物)の工場が多かったことから、この名前が付けられているのですが、現在はショップハウスの改修も終わり、バーベキューポーク、雑貨、アンティーク、パブにフットマッサージなどいろいろなお店が入っています。いつも笑ってしまうのがフットマッサージのお店の柱の広告で、どういうわけか怪しい日本語で「こりや、すごい」などと書いてあるんです。ほんと、こりゃすごいですな。私たち自身は、チャイナタウンではあちこちのフットマッサージに行ってみましたが、ここへは入ったことがありませんので、腕の方はよくわからないのですが、「すごい」のかもしれませんね。

サゴ・レーンの風景
昔日の「死の街」サゴ・レーンのいま
さて、ここの向かいの芝生の広場がありますが、ここは昔シンガポールでも有名な「死の街」だったところなんです。昼も夜も活気のあったチャイナタウンの中で、ここだけは喧噪とは無縁だったといいます。「死の街」というのは、ここに「福寿所」とか「大難館」と呼ばれる葬儀屋兼ホスピスがあり、そのほか風水占い師、僧侶、導師、泣き女、葬式用のブラスバンドなどの葬儀産業の集積地でした。もっとも、葬式産業だけならまだいいのですが、ここの葬式屋は、瀕死の重病人や老人を預かり、死までの短い最後の人生を家族から離れてここで送っていたのだそうです。昔、クレタ・アヤに多く住んでいた広東の人々は、死を甚だしく忌み嫌う習慣があり、死人風にふれると死者のあらゆる不幸が降りかかると信じており、死を家から切り離そうとしたんですね。暗い汚い建物の中で、多くの人が咳き込みながら死を待っていたのだそうです。何だか、寂しい話といえますが、その葬儀屋兼ホスピスがここに立ち並んでいたのです。

さすがに幽霊話も多く、恐怖のエリアともなっていたということなのですが、1961年に政府によって、こうしたホスピスの設置が禁止され、葬儀関係のお店はすべて移転させられ、きれいさっぱりつぶされてしまったそうです。オーチャードの高島屋が墓場の跡地に建っているように、シンガポールでは、あまり不吉な土地だとかいわない傾向があるようですが、こんな不吉な土地に本当に将来建物が建つのだろうかと思ってしまいますね。


「びっくり箱」チャイナタウン・コンプレックスへ

チャイナタウン・コンプレックス入り口
チャイナタウン・コンプレックス入り口
さあさあ、チャイナタウンの「びっくり箱」チャイナタウン・コンプレックスです。(地図・ピンクの地区D)ここのことは、「地球の歩き方」あたりにも詳しく載っているのですが、チャイナタウンでも面白い場所の一つです。中国名を「牛車水大厦」といい、サゴ・レーン側の入り口の上に大きな看板があります。地下1階がマーケット、1階が小さなお店屋さん、2階がホーカーセンターというこの建物は、1980年代はじめのチャイナタウン再開発の手始めに、その付近にあったショップハウスを取り壊し、さらに路上にあった屋台も路上営業を禁止して、それらを集めた建物で、HDBの住宅を併設しています。

ウエットマーケットの様子
ウエットマーケットの様子
地下1階から順番に見ていきましょう。まず、ウエットマーケットです。床が濡れているので、ウエットマーケットというのですが、こうしたマーケット自体は実はシンガポールのHDBには必ず併設されているもので、どこへいっても見かけることが出来ます。しかし、ここのマーケットは、その規模と扱うもののエキセントリックさで他を圧倒するといっても過言ではありません。中は、大まかに分けて、野菜のブロック、魚のブロック、鶏肉のコーナー、果物のブロック、豚肉のブロック、そして乾物のエリアに分かれます。

魚売場で売っているカエル
魚売場で売っているカエル
この中で、もっともすごみを感じるのが、魚のブロックですね。大きなかけ声をかけながら、魚を売ったり、魚のウロコをとったりしている様子もさることながら、水槽で泳いでいる大きな魚の頭をこん棒で殴りつけて殺す光景や、生きている蛙を目の前であっという間にさばく様子を見ると、ショッキングですらあります。直接見たことはありませんが、カメを目の前で解体していることもあるそうです。とにかく、ここの迫力はすごいですよ。

他には、豚肉のコーナーもすごいです。特に朝行くと、と殺されて皮をはがれただけのブタさんが仰向けに横たわっていて、これを店のおじさんがバンバン解体して行くんです。いやー、すごい。そのほか、果物のコーナーあたりでは、日本の果物をよく売っていますよ。このウエットマーケットは、ぜひ見ておきたいところですが、床が濡れているので、歩くときは要注意です。それから、生臭い市場独特のにおいがあって、これが不得意という方がよくいらっしゃって、気分が悪くなる人も時にありますので、自分の「力量」にあわせて、見てください。ちなみに、このマーケットについては、「シンガポールの食べ物屋さん/路地裏ガイドブック」の川口晶さんのレポートがありますので、こちらも参照してみてください。

コンプレックス1階のお店群
コンプレックス1階のお店群
1階は小さなお店の集まりです。200以上のお店があり、カバン、靴、洋服から雑貨、CD、布地までいろいろなものを売っています。そんなにいいものがあるわけではありませんが、洋服や下着あたりはシンガポールの小市民が買い物をしている姿をよく見かけます。ぶらぶらと見て回るだけでも面白いですよ。私たちは、どういうわけか、ここまで来てから雨に降られるというパターンがこれまで何回もあって、ここで連れてきている友だちや家族用に傘を買ったことが何回かあります。

コンプレックス2階のホーカー
コンプレックス2階のホーカー
2階はホーカーセンターです。とにかく巨大で、途方に暮れるくらいです。「シンガポールうまいもの探訪」の我々としても、よく出かけるのですが、これまでここぞというお店にあたっていなくて、まだまだ開拓が必要だと思っています。

ちなみに、このチャイナタウン・コンプレックスのトイレというのが、シンガポールでも最も汚くて、古い公衆トイレとして有名で、なかなかすごいものがありますので、できれば、他のショッピングセンターを使った方がいいと思いますね。それと、エスカレーター付近に体重計があるのに要注目です。

コンプレックスの外にはこんなトライショーも
コンプレックスの外ではこんなローカルなトライショーも
どういうわけか、シンガポールにはショッピングセンターに突如体重計がおいてあることがよくあって、しかも、それを利用している人たちがいるんですねえ。習慣の違いとはいえ、何のためにこんなところで体重を量るのでしょうかねえ。興味のある方は、20セントで利用できます。

このチャイナタウン・コンプレックスのサゴレーン側の入り口付近には、休みになると、近所のおじさんたちが集まってきて、だべったり昼寝をしたり、競馬の検討をしたりしている様子がみられます。観光用でない庶民向けのトライショーもこのあたりで細々と営業しています。このあたりに、シンガポールの庶民の生活が見られますよ。


ニューブリッジセンターも意外に面白いよ

ニューブリッジセンターの「がまの油売り」
ニューブリッジセンターの「がまの油売り」
チャイナタウンコンプレックスのニューブリッジロード側の隣が、ニューブリッジセンターという建物で、雙魚(PISCES)デパートがあります。(地図・ピンクの地区E)まあ、B級のデパートなのですが、意外と楽しめるんです。まず、ニューブリッジロード側のホール部分なのですが、いつも、おじさんたちがたむろっているんですが、休みになると、がまの油売りみたいなというか、秋葉原の駅前というか、実演販売をして、黒山の人だかりが出来ています。こういう実演をする人というのは、どの国でもうまいですねえ。で、この建物、地下1階と1階は服、靴などを売っています。これも安物ばかりなんですが、庶民の買い物場所といった感じでしょうか。

2階に上がってみると、スーパーがあります。ここには、陶器のコーナーがあって、置物、飾りものから食器に至るまでいろいろなものを売っていて、見ているだけでも楽しめます。中国風の急須と茶碗あたりは、安物なのですが、おみやげにもなりそうです。それと、壁掛けなどの小物のコーナーを見ると、日本製のものが実に多いのがわかります。シンガポールは、ここに限らず、台所まわりのものや、壁掛けなどの家庭の小物は日本製品が日本語表示のまま売ってあるケースが多く、この分野での日本の強さを感じますね。お菓子や食品のコーナーも面白くて、「コアラのマーチ」なども売ってあるんですが、中国語表記で「楽天小熊餅」などと書いてあって、おもわず笑ってしまいます。こんなのは、買って帰ると、話の種にもなって、面白いですよ。

2階に上がったところには、レーザーディスク屋さんがあるのですが、ここではLDに貼ってあるラベルに注目です。これは、検閲済みの証明ラベルなんです。シンガポールでは、映像の輸入物は検閲を受けなければならないのですが、販売用のカラオケなどのLDも同じことなんです。こんなところにもシンガポールの国家を見ることが出来ます。


クレタ・アヤ・コミュニティーセンター付近を歩く

ケオン・サイ・ロードの風景
ケオン・サイ・ロードの風景
スミスストリートとニュー・ブリッジ・ロードの交差点を左に折れて、少し進むと、お粥屋さん「長城餐室」が見えてきます。広東風のお粥なのですが、シンガポールでも有名なお店です。「シンガポールうまいもの探訪」の方の記事を参考にしてみてください。さて、こことニューブリッジセンターの通りを中に入ってみましょう。ケオン・サイ・ロード(KEONG SAIK ROAD)というこの通り、風情があって、私たちの好きな場所の一つです。まっすぐ正面には、ブキ・パソのヒンズー寺院が見えてくるのですが、この途中の「部楽倶楽部」は昔のチャイナタウンの雰囲気を感じさせる建物です。上はホテルというか、安宿のようになっているようなのですが、何だか怪しげな様子です。でも、建物のデザインは好きですね。

HDBの物干し風景
HDBの物干し風景
ここから先へは、後で抜けることとして、チャイナタウン・コンプレックスの横丁の方に入ってみましょう。ニューブリッジセンターとコンプレックスの間に地味なドリアン屋「101花果山」がありますが、このお店は有名なんです。いつも、ドリアンを食べる人の姿を見かけます。このあたりから上を見上げると、洗濯物が旗のように干してあるのが見えます。香港あたりでもポピュラーな干し方だそうですが、中国系独特の方法のようですね。でも、結構危ないらしく、誤って転落するメイドの事故がよく報じられます。

そのHDBの建物の3階に、「PAP COMMUNITY FOUDATION」の看板を見ることが出来ると思います。PAPというのは、シンガポールの与党・人民行動党の略称なのですが、この党はこうしてあちこちに支部を持っているんです。絶対的与党とはいえ、こうして地道に活動しているんですねえ。たいてい、EDUCATION CENTREのような保育所を併設しているのですが、さすがに幼児に政治教育をしているわけではないようです。ここクレタ・アヤのPAP支部では、日曜日になると、切手やテレホンカードなどのバザールをやっています。
クレタ・アヤ・コミュニティーセンター
クレタ・アヤ・コミュニティー・センター
シンガポールでのテレホンカードや、MRTのカードなどの人気は高く、熱心な収集家が多いようです。ここでは、日曜日の12時から5時の間だけのバザールですが、大勢の人で賑わいます。うまくタイミングがあえば、のぞいてみるのも面白いでしょう。

この建物の3階から、裏手へ出ると、中国風の建物が見えます。これは、コミュニティーセンターといって、公民館みたいなところです。(地図・ピンクの地区F)シンガポールには、HDBの団地単位でこうしたコミュニティーセンターがあって、生涯教育のような活動が行われています。このさらに裏手にある建物は、ホールになっていて、毎年3月になると、中国から一座を招いてチャイニーズオペラの公演が行われます。チャイニーズオペラの模様は、「シンガポール探検日記」に載せていますので、興味がおありでしたら、お読みください。

クレタ・アヤ編第4部に続きます。


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