ファーイースト・スクエアのご案内

シンガポール政府がすすめてきたチャイナタウンの再開発計画のうち、最後の仕上げとなるのがファーイーストスクエアの開発です。ラッフルズプレースよりのチャイナタウンエリアをシンガポールの歴史を体験しながらのレジャータウン化しようというファーイースト・スクエアの開発は1998年、ようやく完成しました。このコーナーでは、このエリアをご紹介しましょう。


ファーイースト・スクエアのこと
 
スクエアの入り口〜Water Gate
スクエアの入り口〜Water Gate

チャイナタウンの心臓部ともいえるクレタアヤ地区、そして歴史の街テロック・アヤ地区の北側にあるクロスストリートとテロックアヤストリート、それにラッフルズプレースの高層オフィス街の裏になるチャーチストリートに挟まれた一角がファーイーストスクエアです。
 
エアコンの効いたアモイストリート
エアコンの効いたアモイストリート

街の一つのブロックをテーマパークのように仕立て、古くからあるショップハウスや通りの形は残しつつ、車を遮断した歩行者専用のレジャーエリアに仕立てたものです。コンセプトとしては、ブギスジャンクションの手法によく似ていますね。

ただ、ブギスがおしゃれな街を目指そうとしているのに比べると、歴史ある街としてのチャイナタウンを意識して、歴史を体験できる街、シンガポールの昔をしのぶ街といった感じのつくりになっています。ショップハウスや寺院、古い史跡の保存自体も兼ねて行われているあたりに、それが感じられます。しかし、ショップハウスの並びは外観こそ残されているものの、中は数軒が通しの構造になったり、レストランやお店が入ってすっかり様変わりしました。お店としては、全体にバーやスナック、それにカフェのようなところが多いですね。

スクエアの中はブロックごとにいくつかのエリアに分けられていますが、クロスストリートとチャイナストリートに挟まれた部分にはテナントスペース、オフィススペースを中心としたウェストプラザ、その隣にはチャイニーズオペラなどの上演ができるカルチュアル・パビリオンなどもあります。

スクエアに入る部分は風水にならって、火、水、木、鉄の名前を付けたゲートがあって、目印の役割を果たしています。

私たちが取材したのは12月21日でしたが、何しろオープンして1ヶ月しかたっておらず、お店などもまだまだこれからといった感じでしたが、これから次第ににぎわいを見せてくるようになってくると思います。


<アモイストリート遊歩道>
 
チュイ・エン学校
チュイ・エン学校

アモイストリートの部分は、ブギスと同じように通りの上に屋根が取り付けられ、クーラーの利いた場所になっています。通りには小物を売る屋台が出たりしています。また、このあたりはカフェが目立つところで、ちょうど私たちが行ったときにはのんびりとお茶する欧米系の人たちを大勢見かけました。

この通りで目を引く史跡は立派な門構えの建物「チュイ・エン学校」です。もちろん、今は学校ではないわけですが、ここも歴史のあるところで、1854年に設立されたシンガポール初の独立系学校のひとつです。設立に当たったのは、タン・キムセンを中心とした福建系のお金持ちだったわけなのですが、中国の出身地の地縁・血縁で集団を作り、それぞれに社会組織をつくってきたシンガポールの中国系人たちは、こうした独立系の学校をそれぞれに設立していました。

その中心となったのはいわゆる「会館」と呼ばれる相互扶助機関だったのですが、ここではお寺や共同病院、共同墓地、養老院などの運営がなされており、学校の運営もその一つだったんですね。この学校では、「会館」の会員の子どもたちが教育を受け、成績の優秀な学生には奨学金も与えられたといいます。「チュイ・エン学校」はそうした学校の一つだったわけです。

古くから中国系の人たちが住み、集まったこのエリアは、そうした会館や学校が集まる場所でもありました。その名残がここにも見えるわけですね。

<福徳祠>
 
資料館化した福徳祠
資料館化した福徳祠

テロックアヤストリート沿いの修復されたショップハウスの並びを歩いていると、お寺のような門構えの建物に出会います。ここは見ての通り、もともとお寺だったんです。しかし、再開発を終えたいま、チャイナタウンエリアの資料館として生まれ変わりました。

ちょっとこの建物の歴史を振り返ってみたいと思います。この建物が建てられたのは1820年です。テロックアヤストリートを代表する中国寺院であるシアン・ホッケン寺院が建てられたのが1821年ですから、それよりも古く、シンガポールで最も古い部類に入ります。ラッフルズが上陸した翌年ですものね。

テロックアヤ編のところでも書きましたが、このテロックアヤストリートはもともと海に面した道路で、海岸そのものだったのですが、その目印的な存在の一つであり、シンガポールを目指して中国からはじめてやってきた人たちが、ここを目にしてようやく着いたのだなあと実感したのかなあと思うと、新たな未来にかけようとした中国系の人たちの思いが伝わってくるような気がします。彼らは、ここで無事に着いたことを神様にお礼し、お参りをしたといいます。
 
福徳祠の正面
福徳祠の正面

資料館としていろいろな展示物が取りそろえられたこの寺院の中に入ると、海沿いにたつこのお寺の様子を示した模型があります。本当に海岸だったんだなあと再認識できますよ。そのほかにもいろいろと展示があります。小さなところですし、見どころたっぷりというわけではありませんが、いずれも興味深いものばかりですので、じっくりみたいところです。

この建物の裏手に出てみると、水がでているところがあります。汚い感じの水で飲めるようなものではないのですが、この寺院はシンガポールが開かれた当時、水の供給元として重要視されていたそうです。井戸があったんでしょうね。ここから真水を汲んでいってたわけですね。そのせいもあって、ここの水は幸運を呼ぶ水だというふうに信じられていたといいます。

<応和会館>

ちょうど私たちがシンガポールに住み始めた頃、この地区の再開発工事が本格化していたのですが、中に入れないこのエリアの入り口にあってのぞき見ることができたのが、この応和会館でした。先ほど書いたような地縁、血縁を中心とした「会館」の一つであったわけですが、ここは客家(ハッカ)の会館の一つです。
 
新装なったテロックアヤのショップハウス群
新装なったテロックアヤのショップハウス群

1822年に建てられたこの建物は、シンガポールの客家コミュニティの最も主要なところの一つです。客家人は中国南部各地を出身地とする人たちですが、シンガポールの中国系のうち、約7%は客家とされます。有名なところでは、上級相のリー・クアンユーは客家ですね。

クレタアヤ編のところでも書きましたが、客家人たちは、「當店」と呼ばれる質店、薬屋、靴店、貴金属店、医者等が多かったといいます。この応和会館のすぐ横を走るクロスストリート沿いには靴屋、医者、薬屋などが多くありますから、この付近も客家の居住区の名残があるのかもしれませんね。

(98年12月に取材した際には、まだ中が改修途中で入ることができませんでしたが、一度のぞかれるといいでしょう)

<ヘリテッジ・トレール>

スクエアの中のペキンハウスとアモイハウスの間に、昔のれんがむき出しのショップハウスを再現し、そこに当時のチャイナタウンの写真を展示し、中国系の人たちの生活文化を紹介する小道がつくられています。ヘリテッジトレールと名付けられたこの通りもじっくり写真などを見てみるとよいと思います。通りの復元自体ははっきりいってちゃちなものです(このテのものはシンガポーリアンは本当に下手です)が、昔のシンガポールの様子に興味のある人には楽しみなところです。
 
 

<チャイナスクエアのこと>

 ファーイーストスクエアのテロックアヤ・ストリートを挟んで向かいに、4フロアもある巨大なフードコート「チャイナ・スクエア」があります。この地区は、オフィス街でたくさんの人たちが働く場所のために、お昼はどのホーカーセンターも大変なにぎわいになります。
チャイナスクエア面
チャイナスクエア

   このあたりの主要なホーカーセンターであったエンプレスプレース・フードセンターやテロックアヤ・トランジット・フードセンターがなくなって以降、ラオパサやUOBプラザ前のゴールデンシューとともに、いよいよオフィス街の昼食場所として欠くことのできないところになっています。

 このフードコートのよいところは、お店に主張があるところですね。自分自身の店名や、過去にお店をおいていたホーカーセンターの名前を冠したお店が多いのですが、一般的にというか、経験的にこういうお店の方がおいしいものです。
チャイナスクエア面
チャイナスクエアの中の様子

   このフードコートは私たちがシンガポールを離れた後にできたところなので、あまりたくさんのお店を試したわけではありませんが、1階にあるフィッシュスープの「金記」はブギスのブランココートにあった有名店ですし、2階の餃子のフォン記もピープルズパークの有名店の支店ですね。地下1階の阿南小椀麺もこれも有名店。そのほか、マクドナルドやデリ・フランセなども入っているのも楽しめますね。在住の人たちには3階のMaoさんのお店も大変評判がいいと聞きます。

 エアコンの効いたフードコートとしては、水準が高いのではないかと思います。ぜひ、チャイナタウン観光のついでに立ち寄ってみたいですね。 


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