今週末は、日曜日がヒンズー教の「正月」ともいえるディーパ・バリのため、シンガポールは3連休です。土曜日は、インド系の人にとっては、おおみそかみたいなものですから、リトルインディアは大賑わいだろうと思い、せっかくだからリトルインディアで何か食べようじゃないかと出かけたはいいが、散々な一日でした。実は、私のアパートのオーナー(インド系です)が、リトルインディアの入り口の駐車場付近のいい場所に不動産を持っていて、前から「レストランかなんかにしようと思ってて、借り手を探している」といっていたのですが、つい最近テナントが入っていることを発見。せっかくディーパバリだし、お祝いを兼ねてと思って行ってみたのですが、これが大失敗。ちっともおいしくないのです。それだけじゃあありません。インド系の店なのに、店員の愛想が異常に悪いうえに、やる気がまったくなくて店に覇気がないのです。
あんまりにも不愉快だったので、口直しに、たまに行くNORRIS ROADとセラングーンロードの角にあるコーヒーショップでチキンカレーで、チャパティでもつまもうと思って行ったんです。いざ、店で注文して座ったら、同じテーブルのおじさんが何やら人種問題のようなデリケートな話を吹っかけてくるし、チャパティを紹介しようと思って写真を撮ろうと思ったら、「食べ物の写真など撮るもんじゃない」などといって、妨害するので、結局あきらめることになってしまうしで、こちらも散々。すっかり疲れきって帰ってきたのでした。体も疲れたのですが、怒りのあまり、チャパティなぞも食べてしまったせいもあって、胃も若干疲れてしまいました。こうなると、困るのは夕食です。こんなときは粥だなあと思っていたら、ちょうど先週、職場のローカルスタッフが、チャイナタウンにベリー・グッドな粥があると行っていたのを思い出し、さっそくタクシーに乗ってチャイナタウンに出かけました。
チャイナタウンの目抜き通りであるニューブリッジロード沿いで、ウエットマーケットのあるチャイナタウンコンプレックスの隣にあるこの店、夜のピーク時に行くと最低30分以上は待たなければいけないという超人気店だそうです。私が出かけたのは、夜の9時を過ぎていましたので、さほどではありませんでしたが、それでも行列ができていました。さすがに混むというだけあって、注文の仕方も少し普通のコーヒーショップなんかとは違います。完全分業制なんです、まず、注文を取る専門の人が入り口のところにいて、客はここまで行って並んで注文します。すると、この人が注文を書いた紙をおわんの担当の人に渡すんです。この人は、注文を洗濯ばさみでおわんにつけ、注文に応じた具を入れて、厨房(といってもすぐ目の前)に渡す。厨房ではこれを見て、調理するというわけです。実にシステマティックですねえ。
待つこと10分余。ついにお粥が出てきました。お粥の味を表現するのは何とも難しいのですが、ここの特徴はチキンと思われるスープをベースにしています。味自体はさっぱりしているのですが、がっしりと安定感があるというのか、軽いというわけでは決してありません。いっしょに入っているねぎとあげた玉ねぎが、このスープに実にあっていて、うまさを引き立てています。米は粒がほとんどないくらいに煮込んであって、さらさらスープを飲むように食べられます。ただ、この日は具はフィッシュヘッドを注文したのですが、これははっきりいって失敗でした。こちらの魚の特徴の生臭さがもろに出ていて、結局途中から全部おわんから出してしまい、粥だけを食べました。周りの人が食べていたチキンとかポークとか、卵なんかはおいしそうでした。でも、やっぱりお粥は、健康回復には最高!って感じですね。アジアの人間にとっては、食のオアシスといってもいいのではないでしょうか。
この日は、このほかに「魚生」を注文しました。こっちもおいしかった。「魚生」とは読んで字のごとく、魚の刺し身です。中国系の人たちは、これを中国正月に食べる習慣がありますが、ここでは本当の刺し身だけのものが年中食べられます。さっとかけてある調味料は、ごま油ベースでくどくなく、いい香りがします。これにしょうが、ねぎ、レタス、チリ、ライムがついていて、さっと混ぜて一緒に食べます。刺し身といっても、大きな切り身ではなくて、小さく細切れにしてあります。ちょっとづつ粥に入れて、一緒に食べるとこれまたおいしいですよ。
お値段は粥、魚生とも3ドル。ここのほかにチャイナタウンのアッパー・クロスストリートと少し北のバレスティア・ロードに支店があるそうです。アッパークロスの方はこの本店からも近いので、混んでいるときには、こちらも試してみるといいかもしれませんね。
<所在地:SINGAPORE STREET DIRECTORY MAP46 1-C参照>
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(96年11月 9日取材)